千葉県八千代市・高橋しゅん 様

(第二の青春謳歌中のギタリスト)

寝ない街ライトアップの厚化粧

好きな娘はすぐに転校してしまい

にきび面ニヒルになっていく息子

アンテナが錆びて話に黴が生え

纏め役ポッケにいつもヤジロベエ

不都合は辞めた前任者に負わせ

モノクロの映画大人の味がする

デパ地下の常連が知る値引き時

小さい嘘ついて膨らむ次の嘘

肩叩き孫と会社がしてくれる

良心を網棚に上げ足を組む

カタカナ語一個仕入れて二個忘れ

釣り銭を摘み損ねる長い爪

ネクタイが上手く結べて良い予感

スパイスを振って話が不味くなり

部下がいる今日は鰻の上にする

嘘つけぬ質でと今日も嘘を言う

初めての酒で教わる社の派閥

フェロモンに狂いだしてる羅針盤

蜜月のうちは良かったワンルーム

ペディキュアが追いかけている焼き芋屋

土砂降りに洗車させてるちゃっかり屋

へべれけを待ってくれてる発車ベル

人間はいいな微笑み合えるから

済みませんすぐ出る癖が情けない

好きなんて桃食べながら言わないで

お宝もお宝のある家が好き

喉元を過ぎると次の悪巧み

医学書の知識医者から疎まれる

ゲンナマを積んでプライド捨てさせる

嘴を挟めば仕事倍に増え

お邪魔にはならぬでしょうと袖の下

痛いとこ突かぬお互い様だから

カーナビに臍曲げられて迷い道

裕ちゃんになりきって出る映画館

好きな娘が酒豪と知った花の宴

席譲る青年ピアス光らせて

ケイタイで指図してくる妻の旅

宅配の野菜の下の母の文

 
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