夏ヤセをしてないうちに秋になり
背に夕陽 私の影はああスリム
パソコンを我より賢く思う時
パソコンに言うこときいてと懇願し
携帯にかけてまずきく「今どこよ」
携帯にかけてて言うか「あら、いたの」
品名欄 “愛情”と書く宅配便
立秋と誰が言うのよ この暑さ
あぶら身が溶けてくれぬか この暑さ
夏バテはするのに何故か痩せはせず
お化粧で皮一枚ぶん暑さ増し
向日葵はUVカットの花なのか
向日葵の夏バテ知らずの笑顔かな
浴衣にもスリットいれる時代とは
屋根越しに花火あがりて夏を観る
一瞬の煌き愛(いと)し花火かな
蝉時雨はかない命の大合唱
届かない枇杷が気になる通り道
母鳥の温もり知らずトキ育ち
鴬の恋は実りて声もなし
大空の青を呑み込む鯉のぼり
鯉のぼり空の青さに酔って舞う
鯉のぼり風になびけば色っぽい
春満ちてあふるるいのち花咲けり
桜舞う儚き春の風の午後
あの頃の私を知ってるお雛様
雛人形飾る私ばかり老け
ミスコンか三人官女美を競い
スマップを五人囃子にリクエスト
まきたいな部長の背中に「鬼は外!」
マンションで「鬼は外」だけ小さく言い
年の数食べる豆さえサバをよみ
鬼の面かぶったほうがイイ男
あの人もパパになったか年賀状
遠い仲 印刷だけの年賀状
年賀状出さなきゃ来ないことを知り
信仰は年に一度の初詣
初詣 晴着姿に場所ゆずり
神様も賽銭箱を見て思案
絵馬の文字 神様よりも人が読み
恋人とひいた御籤に結婚難
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